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環境祭レポート 概要 国産ストーブ スウェーデン製ストーブ スウェーデン製バーナー

大盛況だった「いわて大環境祭」
 
〜くらしの中の森林エネルギー〜

2001年10月8日 

岩手・木質バイオマス研究会 事務局長 金沢滋

“真の豊かさとは?”をテーマにした「いわて大環境祭21」(いわて大環境祭21実行委員会、岩手県など主催)が6日から3日間開かれ、岩手・木質バイオマス研究会(遠藤保仁会長、120人)は「くらしの中の森林エネルギー」と題したフォーラムや、ペレットストーブの燃焼デモンストレーションをし、来訪者に「木をエネルギーに替える」ことをアピールした。

 今回は、昨年の環境ミレニアムフォーラムの続編。コンセプトを「くらし」に絞り、総論的な環境問題ではなく、暮らしの中でどういうふうに使えるのかに焦点を当てた。直前にスウェーデンからの招聘者がテロを避けて来日を延期したため、さまざまな調整を図るなどアクシデントもあったが、逆にわかりやすい設営となった。

 【フォーラム】〜スウェーデンの今、岩手の明日〜
10月6日 主催 岩手・木質バイオマス研究会 ジェトロ盛岡情報センター

6日午後にあった同フォーラムには、研究会員のほか一般を含め約100人が集まった。
冒頭で昨年
11月の環境ミレニアムフォーラム(岩手県など主催)の際に同会が招聘した、ヴェクショー市のコーディネーターらとの交流をまとめたビデオを上映。遠藤会長が「実証に向けて行動を起こしたい。そのためには、さまざまな分野の方々の協力が欠かせません」とあいさつ。山本信次・岩手大農学部付属演習林助手のコーディネートで始まった。

 主婦であり薬剤師の森川則子さんは、「学校薬剤師として環境に興味を持った。今の鉄筋の校舎は木造よりインフルエンザの感染が多い。ぜひ、学校現場で木造化と、木材を燃料にした暖房を進めてほしい」と主張。フリーライターの成田木実さんは「取材を通じて知った木質バイオマス。都会から戻ってきて、ああ、こんな炎が見えるストーブを、マンションでも使えないかなあ、と願っています」と注文をつけた。

 木質ペレットを使った暖房、給湯システムを全国初で公立保育所に導入する住田町の前町長、菅野剛さんは「今は、捨ててきたものが捨てられなくなった。山や工場では年間1,000棟建てられる量が捨てられる。その木質材料を遠くまでの輸送コストをかけて処分するのではなく、企業的に考えて地域でエネルギー利用するほうが徳だと考えるにいたった」と説明。

 スイミングスクールで17年間、木質ペレットを使い続けてきた、花巻スイミングスクール・サンフィッシュイトーの小林俊雄さんは「消耗品の部品交換は自分でできる。いままで故障らしい故障はない。お年寄りを預かり健康管理をしながら運営しているが、そういう人に優しい場所ならなおさら、地球にやさしい燃料を使わねばいけないと思うようになった」と語った。

 合間に、薪割りくらぶの深沢光さんが「バイオマス」としての薪利用▽岩手県工業技術センターの田中部長が「開発計画中の岩手県産南部鉄器利用のペレットストーブ」▽小岩井農牧代表取締役の野澤日出夫さんは「小岩井農場全域でのバイオマス利用の考え方」を紹介してもらった。また、金沢事務局長が「スウェーデンの今といわてのあした」を、増田知事に提出した提言書に基づいて映像を使い報告した。

 最後に、コーディネーターの山本さんは「さまざまな分野の方々が語り合い、よりよい環境を作り上げていく必要性を実感した。最後は、こんなに豊かな森林資源を私たちは、忘れてはいけない」と締めた。

【屋外展示】

県林業技術センター、工業技術センター、岩手・木質バイオマス研究会 共催

 3日間通じ、燃焼実証(県林業技術センター、工業技術センターとの共催)とパネルの2ブースで展示。燃焼コーナーでは、単純な国産マルエヌ式ストーブ(現在は製造中止)と、スウェーデンから輸入したペレットストーブ(スキャンドペレット社)を実際に燃やし、お茶を沸かして飲んだ。来訪者は切れ目なく「今年冬には、ストーブがほしい。なぜないのか」「こんなにいいものは知らなかった」「モノがないんだたったら勧めても無駄だ」「ペレットの供給はどうなっているのか」といった問い合わせが中心。午前、午後に分けてそれぞれ2〜3人の担当者を置いたが、資料もなくなるなど手いっぱいという盛況ぶりだった。

写真 左:昭和40年代の国産ストーブ   右:スウェーデン製ペレットバーナー

 
写真:スウェーデン製ペレットストーブ 燃焼中

ブースには、増田寛也知事も「これは、スウェーデン製でしょ?」と立ち寄り、具体的な構造などを詳しく質問。応対した研究会員も「知事があんなに詳しいとは」と驚いていた。

担当した関係者は「こうしてじかに消費者と接すると、早く商品開発をしないといけない、と実感した」と意欲を新たにした。

 

以上