ホームへ戻る 住田編


 木質バイオマスフォーラム「森林のエネルギーを生かそうinカシオペア」


森林のエネルギーを活かそうシリーズの2日目です、九戸村の十文字ブロイラー鶏糞炭化施設や
ペレットボイラーを使用している二戸スイミングセンターを研究会メンバーと視察した後
二戸市シビックセンターにてフォーラムを行いました。

 日程:平成14年2月5日17:30〜19:30
 会場:二戸シッビクセンター
 
1、 マッツ・グランストランド氏(ヤンフォーセンエネルギーシステム社 マネージャー)



 【なぜ今バイオマスエネルギーが注目されているのか?】
(1) 再生可能なエネルギーである
(2) 石油に代わる代替エネルギーが必要
(3) 環境に配慮したエネルギーであること
(4) 経済的理由→私達の生活と直結したもっとも大きな理由。
        導入にはお金がかかるが長期的には得をする。
【スウェーデンでの木質バイオマス】
(盛んな理由は?)
・ 気候が寒い
・ 森林が豊かで木材産業が盛ん→廃材が多く出る→これを有効利用できないか
また背景として70年代の石油価格の上昇、政府の支援(金銭面など様々な面で)などがあり、この結果バイオマスエネルギーの推進へ→政府は10ヵ年計画で毎年20%づつ増加させていく予定。
 ヨーロッパのほかの国々でもバイオマスエネルギーが広がってきており、今後10年でこれらに関わる仕事をする人は1千万人に増加するとも言われている。またヨーロッパではあと3年でゴミを廃棄できなくなるため木材産業も廃材等の処理法を考えなくてはいけない⇒環境にやさしいヨーロッパ諸国へ

2、 ヨーゼン・ニーゲル氏(スカンペレット社 社長)



【ペレットについて】
ペレット・・・おがくず、樹皮に圧力をかけて作る
特徴として @加圧により含水率が低下→効率の良い燃料となる
      A実は結構重い(水に入れると沈む)
      B柔軟な使い方ができる
      C環境に優しい燃料である(運搬中事故にあったとしても大丈夫!)
【ペレットストーブについて】
'95から開発・販売が始まった。初めはアメリカで開発されたが、スウェーデンではもっと小型のものが必要だった。(太陽光発電と両立して使用されたりしている)
仕組みとしては、
・ 燃焼は外から空気を入れて起こる。コントローラにより燃焼を調節できる。
・ 電気を使ったシステムになっており電源の入/切、温度の設定が可能
・ ペレットが燃焼すると温まった空気を上へファンで送る(音は少しだけ)
・ 煙突を利用していらない空気を室外へ出す(日本では壁に埋め込みそこから)
・ バーナーはどのボイラーにも対応できるように設計されている
・ 燃焼に問題が起こった際はアラームが鳴る          など

3、 マッツ・グランストランド氏
 【ペレットの利点、欠点】
利点 @エネルギー効率がよい
   A一般家庭にも貯蔵がラク
   Bコストが安い
   C入手が簡単
欠点 @灰の処理をする必要がある
   Aチップやおがくずに比べ少しコストがかかる
 【ペレットストーブについて】
現在の市場はスウェーデン、スカンジナビア半島中心。今後ヨーロッパ全土へ。
一般の家庭用としては450kWのストーブが主流→100万t/年ペレット使用。
1500kWのストーブを地域熱供給のために小さな町が所有するケースも。
10年前のシステムに比べコントロールシステムが改善され、完全燃焼が可能になった。
ペレットストーブに対する消費者の要求としては
・ ボイラーの効率がよいこと
・ 信頼性が高いこと
・ メンテナンス(修理)のコストが安いこと→自分達でも直せるような仕組みが必要

4、 二戸地域での木質バイオマス振興の可能性について
(なぜ二戸なのか?)
二戸地域には森林が多く(約8割が森林に覆われている)その管理には間伐が絶対必要!
しかし外材におされて地域材(特に間伐材)が使われないため、間伐後林内に捨てられる木が多い。
また製材時には大量のバーク(樹皮)がゴミとなる。
⇒間伐材とバークの利活用か必要・・・中でも普及させやすいのはペレットではないか。
(今後の取り組み)
調査普及啓発 が必要。
また地域材利用のペレットを試作しこの成分調査を行ったり、ペレットのみならず
他用途での利用も考慮。今後もこれまでの取り組みを継続し、供給施設の整備についても検討。

5、 質疑・応答



Q:ペレットの品質はどう選ぶのか
A:スウェーデンにはペレットの基準があり、含水率が少なく(最大で1%以内くらい)壊れにくいものがよい。
大きなストーブでの燃焼には品質はあまり関係ないが家庭用では大切になってくる。 

Q:燃焼後の灰を肥料として利用したりするのか
A:本来土に返すことが一番よいが、農作物への肥料としての利用はまだ研究段階。

Q:二酸化炭素減少という点から見て木質バイオマスはどうなのか
A:化石燃料の燃焼に比べれば二酸化炭素の排出量ははるかに少ない。
これに関しては樹木による吸収も燃焼による排出もあるので中立の立場ではないか。

Q:木質バイオマスの利用が増加したらバージンウッドの利用もあるのか
A:燃料と熱と空気の関係が大切で、丸太等は完全燃焼しないため環境面でも悪影響があり
スウェーデンでは考えていない。

Q:ペレットストーブのスウェーデン国内での価格はいくらくらいか
A:家庭用は1400ドル/台(本体のみで)。ただし付加価値が25%程度つく。

Q:スウェーデンではペレットの入手は簡単なのか
A:専門のディーラーがいてそこから購入でき、ガソリンスタンドで扱っているとこともある。
大量に購入したいときには専門の店に注文すれば買うことができる。