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はじめに  〜木をエネルギーにかえるということ〜

そだち盛りの木を見たことがありますか?
葉っぱはみどり色をしているでしょう。その葉っぱの「みどり」が二酸化炭素を吸って、私たちや動物が生きるのに必要な酸素をつくっています。
林の写真

いま、地球は二酸化炭素などの温室効果ガスが増えて、すこしづつ暖かくなっています。暖かくなると、寒いところにある氷河がとけて低い土地に水があふれたり、凍った土が溶け出して地盤沈下がおきたりします。まだまだ暖かくなれば、地球全体が暑くなり、自然に大きな影響を与えるのです。
地球がどんどん暖かくなっています
「じゃあ、二酸化炭素が出るのを少なくしましょう」
と、各国の政府や環境を考える団体が集まり、話し合いました。そして、取り決めをしました。これが地球温暖化防止条約です、日本も温室効果ガスを減らす約束をしました。
たとえば、身の周りを考えてみましょう。電気。エアコンやストーブに使っていますね。当たり前に使っていますけど、実は、石油や石炭を使う「火力発電」と廃棄物や放射能が問題になる原子力発電が主力です。それを少しでも減らしてみよう、というのが「再生可能な自然エネルギー」なのです。
エネルギー事情を見ると、日本は51.1%を石油、17.7%を石炭で占めています。半分以上を石油で占めている国は少なく、エネルギー資源に乏しいため石油の99.7%、石炭の97%、天然ガスの96.5%、原子力のもとになるウランの100%を外国からの輸入に頼っています。このままでいいのでしょうか。

各国の一次エネルギー消費量
考えられるエネルギー利用には、さまざまあります。

@太陽光発電A太陽熱利用B風力発電CバイオマスエネルギーD廃棄物発電・熱利用E廃棄物燃料製造F燃料電池 などです。 

私たちは、Cのバイオマスエネルギーの中で、「木」に注目しました。ヨーロッパやアメリカなどでは、木を使って発電をしたり、街全体をセントラルヒーティングするシステムを採用しています。木は、二酸化炭素を吸ってどんどん幹に貯めてくれています。そして、すごいことに簡単に生えてくるのです。枯れたり捨てられたりしても、いずれは腐って、空気中に二酸化炭素を出すのですから、「再生可能なエネルギー源」ととらえてもいいわけです。石油や石炭とは異なり、空気を汚す「硫黄酸化物」も出ません。
私たちは、製材工場で捨てられ、燃やされたりする木くずや樹皮を使い、エネルギーに使えないかどうか考えています。また、山に木を植えた後に間引く「間伐材」やお金にならずに捨てられる木を利用できないか、考えることにしました。 
スウェーデンではエネルギーの2割以上を「木」などバイオマス(生物資源)でまかなっています。1980年には国民投票で原子力発電所の廃止を決め、1999年11月には原発1基を廃止しました。
南部の小都市・ヴェクショー市は、「脱化石燃料」を宣言。市エネルギー公社の発電・熱供給施設「サンビックU」では、原材料を1997年からほぼ100%「木」に転換しました。
製材工場から出たのこくずと樹皮、山に残された枝葉を細かく砕き、合わせて燃やすのです。それで発電する一方、発生した熱いお湯をパイプラインで市内の一般家庭に循環させています。このような仕組みを「コージェネレーションシステム」と呼びます。

集材の様子おが粉や樹皮

また、一般家庭や発電所などでは、「ペレット」と呼ばれる、木の粉を固めた燃料を使っています。木の粉を乾燥させ、約200度の高温にすると出てくる物質で自ら固まりますので、無添加です。できあがったペレットは大きな車で消費者のもとへ運ばれ、専用のストーブやボイラーの燃料になります。環境税の違いなどから単純には比較できませんが、従来の半分から1/3コストダウンにもつながるそうです。
日本でも ペレットを作っている工場は2カ所あります。岩手・葛巻町には、昭和40年代から取り組んだ会社があり、現在、地元の木の樹皮から生産を続け、温水プールの熱源などに使われています。余熱があり、石油使用の場合よりススが出ず、その結果、大幅な経費節減にも役立っているそうです。
「木質バイオマス」は、北国で暖房の重要なエネルギーとして期待される一方で、将来は発電も…と考えられます。私たちは、その可能性をさらに広めて現実に実行に移していきたいと思っています。                            以上
ペレットストーブ燃料のペレットボイラーで燃焼するペレット

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[1]1996年「脱化石燃料宣言」をして、国連環境都市賞を受賞。スゥエーデン南部にある人口約75000人の小都市。ローカルアジェンダ21の独自の取り組みを発表し、二酸化炭素削減で世界的に有名となり、日本からも“ヴェクショーもうで”となっている。州都で知事、司教がいる。ガラス工房郡で有名だが、ヴェクショー大学があり、学生も約12,000人いる若い街。市民の間では環境問題に大きな関心が寄せられている。
[2]11月5日 フォーラム「環境とエネルギーを考える」に出席したのは、ヴェクショー市より=ベングドソン市長、レナード・ガードマーク国際室長、ロジャー・ヒルディングソン ローカルアジェンダ21コーディネーター、ウルフ・ヨンソン ヴェクショー市エネルギー公社熱電併給施設長、イングベ・ルンドベリー オーフインターナショナルプロジェクトリーダー。日本側は由井正敏・岩手県立大教授(コーディネーター)、野澤日出雄・鰹ャ岩井農牧常務取締役、福井富士子・21世紀サポーターズネットワーク事務局。



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