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林地残材


製材所から出る端材や樹皮だけでなく、林地に残された材もバイオマスの大きな原料になる。この章では、その「林地残材」について、可能性のある量や運搬の手法などについて述べている。



平成11年度の林野庁「バイオマス資源の利用手法に関する調査報告書」によると、捨てられる量は伐採方法によって大きく異なる。
長野県三水村のスギ40年生で皆伐(すべて伐採するやり方)と、高知県香北町のスギ30年生の間伐(ここでは、植えられた列ごとに選んで伐った列状間伐と言われる手法)を並べてみた。

※数字は、乾燥重量。

場所(伐採方法)長野県三水村(スギ40年生・皆伐)高知県香北町(スギ30年生・間伐)
枝条(d/ha)58.34.8
末木(小径木)(d/ha) 5.9 1.6
根元部(d/ha) 11.9 2.3
計(d/ha)76.2(出材は383立方メートル/ha)8.7(出材は106.5立方メートル/ha)






これに加えて、神崎康一・京都大学名誉教授は、全国の伐採量から、各県の林地残材のバイオマス量を推定した。(内容については省略)
このほか、スウェーデンを中心とした欧州の搬出方法などを紹介し、分析。問題点や可能な手法などをまとめている。

《まとめ》

 はたして、日本の森林に合う伐出システムは?
ハッキラ博士が来日した際、「効果的な集材システムは?」との会場からの質問に対し、こう答えた。「条件が違うと、システムも異なる。研究してみないとわからない」。当たり前だろう。さまざまな文献を検証してみたが、結局のところは

1. 保育段階の除間伐は、コストが高くなる。日本ばかりではなく、フィンランドでも同じだった。
2. 保育段階の作業コストを下げるには、通常の施業をするのと同様に、路網整備や多工程を要しないシステムを作り上げることが必要である。
3. 輸送にかかる費用の影響が強いので、トラックなど輸送に関する部分で、圧縮するなど一度に大量のバイオマスを運搬できる技術が必要だ。

こう考えると、当たり前のことになるが、バイオマスに利用しやすい林地残材は、全木で土場に集材し、そこで機械で造材された後に集積された末木枝条である。
ただし、日本ではまだ、べーラーなど圧縮して集積・林地貯留・乾燥する習慣もないため、この手法による研究はなされていない。今後の重要課題になる。



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