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発電・コージェネレーション


前章同様、最も多くのページ数を割いて述べている。簡単に説明すると…

一般的に、木質バイオマスの利用を考えると、暖房か発電が考えられる。そのうち、発電は
直接燃焼:バイオマスだけを燃やしてお湯をわかし、タービンを回す。
混合燃焼(混焼):既存の火力発電所などで石炭と一緒に燃やす。大気中の硫黄酸化物が飛躍的に削減すると言われる。
コージェネレーション(熱電併給):燃焼のエネルギーを発電と熱に利用する。
に大まかにわけられる。それぞれの利用効率は、下図[1]のようになっている。



 コージェネレーション施設であまりにも有名になったヴェクショー市のサンビックUプラント。木質エネルギーでほぼ100%稼動する施設のウルフ・ヨンソン所長の話から、さまざまな示唆を受けている。その一部を紹介する。

《ウルフ・ヨンソン氏の話から》

緑の部分がバイオマス。増えているが、政府の指導で泥炭(赤茶)も使い始めた。今は泥炭使用を減らす指導になっている。青の部分は地域の熱暖房に使用された電気。電気の方が安い時期があった。黒い部分は石油。
 私が受けた印象では、我々が1980年代にあった状況が、今の岩手で置かれている状況に近いように思う。石油からバイオマスに転換したその一年間に消費された石油の量は、半分は経済発展に使われ、半分は産業の利益に使われた。二基のボイラーで燃料転換したことになるが、石油の量にすると5万d規模が1万トン規模に縮小されたことになる。得られた利益は、かかった費用を上回るものだった。コスト面で有利な転換になったので、燃料価格の下落でさらに大きな利益が出た。

こちらがサンヴィックUの新しい循環流動床ボイラーの部分。このボイラーはウッドチップと泥炭を使っている。このタイプでは、石炭を使うのが一般的で、日本でもよく見られるものだと思う。容量の変化をそれほど起すことなく、石炭 とバイオマスを混焼させるのも素早く転換できる。
発電器は蒸気タービン。こちらが触媒を使うキャタライザー、凝縮ガスのコンデンサーがある。
ここで一つ注意してもらいたいのは、われわれは燃料[2]を買うときにトン当たりとか立方bあたりではなく、熱量に対して支払う。トラックで燃料が運ばれ、その水分量と重量を計算していくらと計算する。乾燥した燃料であるほど、容量に対してより多くの値段を払わなければならない。平均的な水分量は45%から50%で、燃料の中に含まれる水分を水蒸気にするための熱量も価格に含まれてしまう。排煙ガスコンデンサーを使うことで水分を蒸発させるエネルギーも回収することができ、また排煙ガスを使うことで、ただで地
域熱供給ができる仕組みだ。もちろん、一酸化炭素も出ない。

飯田哲也・日本総研主任研究員は以下のようなスウェーデンとの比較をしている。
表2 2.1に、バイオマスを用いたエネルギー変換技術について日本とスウェーデンの比較結果を示す。また、以下にそれぞれの技術の導入状況についての概要を説明する。

(1)ボイラー・蒸気タービン技術によるCHP(Combined Heat and Power)
完成した技術であるため、信頼性が高い。ただし、この方式で発電比率を現在の水準より高めるには、大規模化と多くの費用が必要で、技術的にも難しい。バイオマスを使用するCHPにおいて、スウェーデンではこの技術が一般的となっている。熱の販売価格が高く設定できるのであれば、最も優れた技術といえる。日本においては木質系廃棄物を利用した工場内のコージェネレーションなどで採用されている、

(2)ガス化技術によるCHP
固定床のガス化技術は途上国向けの技術として位置付けられる。ガス化技術は熱効率と発電効率を高めることができる技術であることが特徴。ただし、小規模な固定床では熱損失が大きい。バイオマス資源が豊富で、かつ化石燃料が高いような発展途上国において、発電に利用される。一方、IGCCは電力需要が高まる近い将来において有望な技術といえる。現状では量産効果が期待できないため、高価な技術とされるが、スウェーデンのTPS社などはこの技術を開発し、世界的に展開しようとしている。電力の自由化やグリーン電力制度によって日本でもバイオマスガス化IGCC[3]による発電事業に可能性が生まれると考えられる。

(3)小規模ボイラー技術によるDHS(District Heating System)
 DHSにおいて、特に小規模なコミュニテイーや病院、公共施設等の熱需要の大きな建物には最適な技術である。また、発電を伴わないことで初期投資額を抑えることが可能。それゆえ、スウェーデンでは大小様々なシステムが多く導入されている。日本においてはバイオマスを用いたシステムは次項のペレットシステムが一般的。

(以下省略。このほか本編では国内の事例、発電方式について、熱交換器についてなど検討課題を掲載しております)

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[1]「森のバイオマスエネルギー」(全国林業改良普及協会)より。
[2]使用燃料の量は、2000年3月の報告書によると、冬期は2,500〜3,000?。一ヶ月では75,000〜90,000?の計算になる。
[3] Integreted Gasifier Combined Cycle(統合ガス化コンバインドサイクル)。バイオマスから可燃ガスを取りだし、ガスクリーナーで浄化後、ガス冷却しガスタービンで燃焼して発電する。




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