ホームへ戻る

バイオマスについての質問へのお答え

このテクストは小学生から質問のへの返事を掲載したものです。


2002年12月5日
岩手・木質バイオマス研究会
事務局長  金沢滋
しつもんへのお答え

 こんにちは。お手紙ありがとう。寒くなると、木を燃やすので、私たちにとっては「バイオマスのシーズンだね」が合言葉になります。そちらはいかがですか?
 返事が遅れてすいません。とっても素晴らしい手紙だったので、力を入れて書きました。
 ご質問に答えたいと思います。
1.何という種類の木を使っていますか?

 「ペレット」とは、「かたまり」「小粒」という意味です。木以外にも、わら や草、原子力の廃棄物だって円柱状の小粒の塊になっていれば「ペレット」といいます。
 木質(もくしつ)ペレットは、どの木でもできます。
 それぞれの地域で育っているものを使えばいいですね。葛巻町では「カラマツ」という木が多いので、カラマツも使われています。でも、できるだけ捨てている材料を利用したほうが安上がりだよね。製材所では、木の皮を捨てているので、岩手県では主に木の樹皮を使っています。世界では、ヨーロッパなどはマツ(パインといいます)系の白い幹の部分を使っています。発生するエネルギー量は樹皮と幹部では少し違うし、灰の量も違います。また、針葉樹か広葉樹でも異なります。
 葛巻町には、日本で最初の木質ペレット工場がスタートしています。葛巻林業鰍ニいうところです。ここでは、木の樹皮と、それ以外の木でペレットを年間1,000〜1,300トンぐらい生産しています。




2.どうして一度粉にしているのですか。

 いくつか理由はあります。
@ 細かくしたほうが乾燥しやすい。
A 細かくしたほうが、リグニンという物質が出やすい。
B @とAから、細かくしたほうが固まりやすい。
ということになります。
3.どうして丸い形をしているのですか?

ペレットを製造する間に、「成型」という工程があります。一度、どろどろになった木の粉を高速でぐるぐる回し、ところ天(知っていますか?)のように穴から出てきたところを切ってつくるのです。その穴が丸いほうが詰まったりしないので、どうしても丸い形になります。また、角のない丸いほうが壊れたり崩れたりしないので、丸い形を採用しています。

4.なぜ 木がいいんですか?



 ヨーロッパやアメリカなどでは、木をエネルギーとして使うことは「再生可能なエネルギー」利用といって、とても重要視されています。なぜなら、木は大きくなる間に「光合成」といって、二酸化炭素を吸い、酸素を吐き出す生活を送るからです。
 地球温暖化(ちきゅう おんだんか)という言葉を知っていますか?

 純佳ちゃんたちが、冬の寒い時に閉め切った教室で勉強していると、すごく暑くてぼーっとなることはありませんか?人が吐いている息の中に二酸化炭素が多いのだけれど、みんなの二酸化炭素が教室いっぱいになって、温度がどんどん上昇してしまいやすくなるんだ。
 地球をくるんでいる大気の中に二酸化炭素を中心とした「温室効果ガス」が増えると、教室と同じように温度が上がるんだ。
 ところが、地球全体の温度が上がると大変なことが起きてしまいます。
@ 氷山や氷河が溶けて世界の水面が上昇し、島や砂浜がなくなる。
A 動物たちが適した温度の地域を探して大移動したり、植物がかれたりする。
B 砂漠化が進む。
C 病気の発生や食糧不足になる。
こうしたことが、とても経済的にマイナスな効果をもたらしてしまうのです。
 日本ではまだ「木を燃やすと逆に温暖化するのでは?」と質問されますが、ヨーロッパやアメリカでは、木や植物が成長する間に二酸化炭素を吸収し、酸素を出すことから「エネルギー利用してもも二酸化炭素は出ない」という「カーボンニュートラル」という理論が当たり前に使われています。
5.どうやって粉にしたものを固めるのですか?

 木質ペレットは、@木を最初に細かく砕くA乾燥するBさらに細かく砕き、大きさをそろえるC200度の熱を加え、どろどろにして木の中からリグニンという物質を出させるD高速で回転し、ぐるぐる回る間に遠心力で穴からどろどろになった木がでてくるE外に出る間に急速に冷やされて固まるF落ち着くまでさますG完成
 ポイントは、何か薬剤などを加えているのではなく、熱で自分の体から出てきた物質により固まっていることです。材料に何かが加わっていない限り、土に戻っても安心だし、燃やしても変なものは出てきません。とても自然な素材なのです。



6.木がなくなったら、どうしますか。

 とてもよい質問です。
 まず、現在の木質バイオマスは、捨ててある木や樹皮を使うことが中心です。利用するために木を伐採することはありません。製材工場ではその昔、捨てるところがないくらい、うまく利用していました。機械化が進んだ今では、50%程度出てくる端材は、捨てるか、燃やしています。まず、これを利用しないといけません。
また、山の木を考えても、大きくなるまでに8回程度伐採します。昔はその木を田んぼのワラを干すはせ木に利用したり、工事の足場に使っていました。でも、今はほとんど使われずに森林内に置き去りにしています。もったいないですね。木質バイオマスは、こうしたものを、まず使っていくのです。
そして、日本の森林について考えてみます。日本の森林は、年間約9,000万立方bづつ増えています。これに対して、日本の国内の丸太生産は年間1,800万立方bです。単純に1/5しか利用していません。国産材の自給率(すべて消費している木材のうち、国産材の割合)はわずか18%と、ほとんどを外国からの輸入に頼っていることも問題ですが、どんどん森林の量が増えているのです。
世界的には伐りすぎで森林破壊が起きるところも多いのですが、日本では捨てている木を含め、もっともっと利用していかないと、手入れ不足の山が増え、どんどん荒れ果ててしまうのです。

質問に答えることができたかな?
とてもよい質問ばかりで、答えるのに少し時間がかかりました。どうもありがとう。葛巻町は、自然エネルギーをとても進めている町です。大きくなるころには、日本一エネルギーが豊かになる町になっているかもしれません。その日を夢見て、勉強にスポーツに励んでください。

では。


ホームへ戻る