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■”木質ペレット燃焼灰の六価クロムに関する“安全宣言


2005年10月26日
岩手・木質バイオマス研究会 会長 金沢滋
 岩手県は2005年3月30日、木質ペレットストーブの燃焼灰から有害物質の六価クロムが
基準値を上回って検出されたことについて、記者会見しました。
岩手県は発表以降、ペレットストーブ利用者から灰のサンプル160検体を分析したほか、
8トン以上のペレットを独自に製造し燃焼するなどして調査研究を進めてきました。
その結果について、10月26日に結果報告を含めた記者会見をしました。
発表文は↓
http://www.pref.iwate.jp/~hp0552/

 概要は以下の通りです。

◎利用者から提供いただいた灰を分析した結果、通常の使用状況では安全性に問題はない。
ほかの物質はほとんど検出されず、使用する上では安全なエネルギーであることが再認識された。
その上で下記のような点がわかった。
 1)六価クロムが溶出するメカニズムは、「ペレットの原料」「ペレット製造過程」「ペレットストーブの燃焼部」の
  多段階にわたっており、ペレットに含まれるクロムと、燃焼される過程で灰がアルカリ化することによって、
  ペレットストーブの燃焼部の金属に含まれるクロムが溶出するという複雑なプロセスを踏む。
 2)燃焼灰を黒土に混ぜる(まく)ことにより、六価クロムは無害になる。
 3)ペレットストーブ燃焼部をセラミック溶射することにより、
  六価クロムが溶出する度合いは劇的に減少するため、メーカー側(サンポット社)では対応する。
+++++++

 今回調査研究した主体は、岩手県林業技術センター、工業技術センター、環境保健研究センター、
農業研究センターの各研究機関に加え、県内のペレット製造社、ペレットストーブ製造社です。
さらに、専門アドバイザーとして研究者3人も検討に加わりました。
(なお、輸入ストーブ等県産ストーブ以外については、メーカーとの連携が
取りにくいことなどから具体的な調査研究はしておりません)
 以上のことから、“事実上の安全宣言”が出されました。

 私も記者会見に同席し、研究会の立場からコメントを出させていただきました。
 「これは事実上の安全宣言ととらえてよい。試験研究ではゼロにする努力も必要だが、
一般に使用する段階で危険性がないこと、溶出しても土にまけば無害化することなどが確認できて安心している」としたうえで、
@3月の発表以来、全国から問い合わせがあった。ある程度の安全性が確かめられた時点で、
早急に発表するよう、要請していた。
Aペレット製造者の任意団体である「東日本木質ペレット安定供給協議会」(会長:遠藤保仁)には、
製造(袋詰め)年月日の記載や、ユーザーに対して使用する際の注意点、
燃焼灰の取り扱い注意を含んだ表示をしてもらうよう、すでに要請しており、基本的に了承され、検討していただいている。
B今後もより高い安全性を確保するため、関係各位のご協力と連携をお願いしたい。
以上です。今後とも、自然由来の木質バイオマスエネルギーについては、さまざまな事柄が起こりうることを前提に、
安心できる付き合いをしていこうと確認した次第です。



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