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第3回木質バイオマス公開講座
木質バイオマスをどう集めるか〜森林から考える〜


日時:2004年11月13日(土)
参加者:54名

「午前の部」現地見学会
時間:10:00〜12:00
場所:岩手県二戸市上斗米字中沢地内
間伐作業を見学。杉林3.98ha。林齢は16〜30年生。作業員は3名。チェンソーで伐採し、林内で玉切。ブルドーザによる短幹集材。採材は4mが基本であるが、曲がり部分及び不良木は2mにとる。2m材は単価が安く、石当り1,100円程度なので割合が多くなると採算的に厳しくなる。
ブルドーザによる短幹集材は岩手県で一般的に行われている。しかし平坦な場所ではよいが急峻なところではブルドーザが入れなくなるために生産性が低くなる。


「午後の部」講演会
時間:13:30〜17:00
場所:二戸市シビックセンター

1. 木質バイオマス集荷システムの講演
■「間伐材収集システムの効率化」 岩手大学農学部 立川史郎 氏
エネルギーとして利用可能な木質バイオマスのうち、半分が林地残材など森林から出るものである。
北欧諸国の林地残材の収集システムは、林内でチップ化する方法とバンドリングマシンによる圧縮・結束化の2つある。バンドリングは積載量がチップより1.6倍と多い。チップ化、バンドリングのいずれも事業として成り立っている。機械はプロセッサ、タワーヤーダ一体型が増えている。
日本ではプロセッサが普及してきており、全木集材が増えている。土場一箇所に残材が集中するので利用するのがよい。プロセッサを中止とした木質バイオマス収集システムを考える場合、土場で残材をチップ化する方法と残材を工場に運んでチップ化する方法がある。
列状間伐・全木集材による低コスト収集システムを検討してみた。列状間伐は定性間伐よりも効率よく、残った木にも傷をつけにくい。収集システムのコストに影響する主要な要因は材の利用方法(全木利用か全幹利用か)、間伐木の大きさ、路網の整備である。
全幹利用と比較して全木利用の場合は総費用で約40%の低減が期待できる。将来的にチッパー、ボイラーの改良によって全木利用を前提とした収穫システムの構築が有効。
平均幹材積が小さくなると(0.15m3程度以下)、コストがかなり増大する。1回当りの集材本数を増やし、細い木は収穫の対象としないことが必要。
傾斜地でスイングヤーダを用いる場合、平均集材距離が50m付近でコストが最小になる。トラック走行可能な作業道の整備を進めることが必要。


■「燃料用チップ供給コストの試算」 岩手県林業技術センター 佐々木誠一氏
チップ材としてバイオマスを十分に活用すれば、土場残材の発生は少なくなる。チップ材生産の低コスト化が有効利用の鍵。新しいチップ生産システムとして、移動式チッパーにて山土場、専用土場、ボイラー前で生産する方法がある。
移動式チッパーには切削方と粉砕型がある。切削型チップはスクリュー搬送方式のチップボイラーでは適する。しかし枝条や全木材のチップは規格外チップが多く含まれ、燃料利用は困難。粉砕型チップは繊維形状なためスクリュー方式のチップボイラーは不適当だがコンベア搬送の大型チップボイラーでは利用出来る可能性がある。
チップ化処理工程は投入方法によると、グラップル+人力、グラップル単独、プロセッサ単独の順で生産性が高かった。運搬効率は距離が長くなるほど低下し、運搬量が多いほど高くなる。コンテナ使用により運搬効率を上げることができる。チップ化して運搬するより丸太での運搬が有利。
チップ化処理の場所を山土場、専用土場、ボイラー前としてチップ供給のコスト比較を行った結果、重油コストと比較し競合できるのは専用土場とボイラー前生産であった。専用土場でのチップ化が原料丸太の安定確保やチップの運搬効率、通年の作業の確保が容易など最も現実的な生産システムと思われる。ボイラー前生産は丸太がおけるスペースやうるさい作業ができるかなどの問題がある。専用土場でのチップ化の場合、重油コストと競合できる範囲は、概ね40km以内であった。
今後は、チッパーの放出シュートをダンプに直接に積めるように改良、全木材、枝条チップも使えるようなチップボイラーの開発、脱着式コンテナ車両の採用に7トンクラスへの増トン化、4WD化、デフロック機構の装備が必要と思われる。


2. チッパーについてメーカーからの説明
■コマツゼノア 佐々木氏
チッパシュレッダ。クローラ自走式。全長3100mm、全幅1100mm、全高1930mm。2トントラックに積載できる。最大処理径165mm。生産能力1.5〜5m3/h。チップサイズを2〜15mmまで調整できる。4トン車に直接積める排出ダクト付。
■コマツ環境リサイクル事業部 内田氏
せん定枝を堆肥に変えるエコプラント。焼却処分していたせん定枝をプラントで粉砕し生ゴミの一部と混ぜて堆肥化。立川市で行われている。
■住友建機販売(株) 販売促進部 環境リサイクルグループ 中村氏
バイオマス発電企画において、山からボイラーまでのチップ化処理について総合的な取り組みを行っている。山形ではりんごやさくらんぼのせん定木からバイオマス発電を行う。天然木チップをいかに有価物として利用していくかが重要。

3. ペレットストーブの助成制度のお知らせ 岩手県商工労働観光部産業振興課 上野一也氏
ペレットストーブ1台に対して5万円の補助をしている。一般家庭への直接補助は他県には例がない。岩手ならではの普及促進を図っている。10月からサンポットの家庭用ストーブが24万1500円で販売されている。灯油の高騰によりペレットの価格は灯油の1.5倍以下になっている。ぜひとも補助制度を活用し、ペレットストーブを購入してほしい。

4. 県内のチップボイラーの利用状況について 岩手県工業技術センター 園田哲也氏
現在岩手県で生チップ対応ボイラーは矢巾町の岩手県林業技術センター、安代町林業センター他計6ヶ所に設置されている。サイロは30m3が最大でコンテナタイプから直接ダンプ投入できるものまである。
当センターではいわて型チップボイラーの開発を進めている。出力100kW、対象チップ含水率100%、価格450万円、サイズW0.9m、D1.5m、H1.9mである。特徴は小型低コスト、灯油バーナー搭載のハイブリット型、高い安全性である。販売予定は平成17年。オヤマダエンジニアリング(株)と共同開発である。さらにペレットボイラー消融雪システムの開発も行っており、住田町の道の駅に平成17年度に導入予定。

5. 討論会
岩手・木質バイオマス研究会会長 金沢・・・・山からバイオマスを集荷する場合、どこの行程が最も費用がかかるのか。
立川・・・・距離や路網はもちろんだが木の大きさが大きく影響する。同じ機械行程でも差が出る。
金沢・・・・望ましいチッパーとは。
佐々木・・・・切削チッパーがよい。パルプ材を処理する場合は30cmの丸太を切削でき、枝葉含みでも均一なチップを生産できるものがよい。
コマツ岩手 小原・・・・チップ排出の高さはどのくらい必要か。
佐々木・・・・直接車両に積み込みたいので最低2mは必要。10トン車にだと3mほしい。上にも下にも吹き出せるとさらによい。
金沢・・・・今後のチッパーと発電需要の見通しは。
中村・・・・30cm以上の丸太を1回1台で切削するのは難しい。メーカーでは悩むところ。発電は年間10万〜30万トンの処理をしなければ事業として成り立たない。



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