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木質バイオマスサミットinいわて 第二分科会 みどりのエネルギーの活かし方


  

 20、21日と開かれた木質バイオマスサミットinいわてでは知事サミットのほか、この分野の第一人者や本県など国内の実践者、スウェーデン・ヴェクショー市からの3人らによる分科会も開かれた。
このうち20日の第2分科会では「みどりのエネルギーの活(い)かし方(技術・システム)─木質バイオマス利用の現状と課題」をテーマに行われ、急速に推進が図られる一方、普及、一般化への課題が明らかにされた。課題を中心に出演者の発言を紹介する。
主催は県、ジェトロ盛岡貿易情報センター、岩手・木質バイオマス研究会。
 第1部では、わが国の木質バイオマス利用の第一人者である熊崎實岐阜県立森林アカデミー学長が概説を述べた。紹介したのは英国の「木質燃料推進プロジェクト」の基本原則。持続可能な形でバイオマス利用する条件に▽持続可能な供給源から得られた木質燃料であること▽木質燃料がクリーンで効率的な方法で燃焼されること▽木質燃料はなるべく生産地の近くで使用されること─を挙げている。
 このプロジェクトでは「ストーブはどこに設置したらいいか、煙突はどうするか、灰をどうするかなど(一般に向け)いろんなアドバイスを公開している」と紹介。「森林の少ない英国でこれだけのことをしているのに日本では皆無と言っていい」と指摘した。
 普及を阻む壁として▽意識・技術の壁▽燃料コストの壁▽制度の壁─の三つを挙げ、意識に関して「木質燃料は古いという考えがあるが、まきをくべるのが楽しいというのは文化の問題であり、文化からも考えていかなければならない」と述べた。

 

 第2部では4人が事例報告。ペレット倶楽部準備会の小島健一郎事務局長は「北欧におけるペレットの生産・流通・認証の状況とわが国の課題」とし、スウェーデンでは規格を3分類、ドイツでは5分類など品質によって分けているが、EUで標準化の検討が進められていると紹介。日本での課題として需要の少なさ、燃料配送網の整備、ストーブやボイラー導入に対する政策措置による化石燃料より使いやすさの創出、燃料・機器・供給の標準化などを挙げた。

   

 第3部のパネル討議ではコーディネーターの澤辺攻岩手大学教授が「岩手の燃料となる資源は年間43万とdと見込まれる。うち「20万dは工場廃材で90%以上が使われている。工場残材から使おうとすると1万2000d、岩手の3900世帯分しかない。推進にはいかに資源を確保していくかで、ほとんど使われていない(23万dの)林地残材の使用と工場廃材の用途転換にあり、林地残材を低コストで運搬する方法を考えなければならない」と述べた。
 岩手・木質バイオマス顧問の遠藤保仁葛巻林業社長は「地域の資源は森林だけでなく農業せん定、街路樹せん定などがあるが、利用されていない。素材生産など今あるインフラを使って地域経済を動かすシステムを作りたい。ないのはチップボイラー。これを突破口に出口を作りたい」と述べた。
 このほか、発電や電熱併供給の利用での高コスト、能力規模によるガス化技術、自然エネルギー電力の売買制度が出されたほか、急速なペレット利用の急増に対する国内供給体制の不備や価格競争から、海外ペレットに市場を取られ、木材と同様の現象に陥る懸念が指摘された。
 



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