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木質バイオマスサミットinいわて概要
  ここからはじまる 木質バイオマス利用《一過性に終わらせないために》


 みどりのエネルギーが日本を変える―「木質バイオマスサミットinいわて」(岩手・木質バイオマス研究会、岩手県、日本貿易機構(JETRO)盛岡貿易情報センター主催)は2004年1月20日、盛岡市内のホテルで開き、再生可能な木質バイオマスエネルギーの利用を進めようと共同宣言を採択。さらに、増田寛也・岩手県知事の立ち会いでヴェクショー市とヴェクショー・バイオエナジーグループ、当研究会の友好協定を調印した。
 サミットは、同振興機構のLL事業による当研究会とヴェクショー市の交流による招聘事業と岩手県の事業を併催した。ヴェクショー市からはカール・オルフ・ベングドソン市長、レナート・ゴードマーク同市国際局長、ホーカン・マグヌスソン・ヤンフォーセン社(チップボイラーメーカー)営業部長の3人が来県。日程は20日に三村申吾・青森県知事▽寺田典城・秋田県知事▽木村良樹・和歌山県知事▽橋本大二郎・高知県知事▽増田寛也・岩手県知事が意見を交わしたフォーラムと2つの分科会、企業や民間団体による展示ブース、交流会。21日には、木質バイオマス利用に取り組む先進事例として岩手県内の住田町と葛巻町を現地視察した。また、22日には研究会主催事業として同県松尾村の県立森林科学館(仮称)のヤンフォーセン社チップボイラー見学と、チップボイラー利用を検討する同県沢内村での説明会を開いた。
 20日のサミットには、全国から予想を上回る約1,000人が訪れた。参加者からは「勇気づけられた」「地元に帰って運動を進めたい」という前向きな反応が寄せられた。しかし、一方で、バイオマス・ニッポン総合戦略に喚起されたものの、急速に推進させようとするあまり、行政主導に陥りがちな一過性の流行に終わらせない足腰の強い取り組みが重要であることを、改めて実感させるものとなった。
岩手・木質バイオマス研究会
会長  金沢滋

【各開催項目の概要は、順次公開いたします】
《期間中のスケジュール》
1月18日 スウェーデンからのベングドソン市長ら到着
1月19日 打ち合わせ、増田知事表敬訪問 その他
1月20日 準備ならびに各県知事到着、午後にサミット▽分科会▽交流会
1月21日 住田、葛巻両町へのオプショナルツアー
1月22日 松尾村、沢内村へのチップボイラー説明視察ツアー(市長ら離盛)
1月23日 ホーカン氏離盛

 

《共同宣言全文》※事前の打ち合わせにより、各県知事とも了解したものを金沢が朗読したものです。

「木質バイオマスサミットinいわて」宣言
 資源小国といわれる我が国にも、国土の3分の2を占める豊かな森林があります。しかし、今や国内の林業は不振を極め、木材の自給率は20%を割る有様です。また、山を見渡せば、管理放棄と見なされるような森林が、いたるところに広がってきました。森林は、継続的に利用されてこそ、健全に維持されるのです。
 かつて、日本の森林の多くは、燃料用木材の採取を目的として管理されてきました。その後化石燃料の進出によって、森林エネルギーの利用は衰退の一途をたどっていますが、世界に目を転じますと、本日ご参加いただきましたスウェーデンを始め、欧米諸国を中心に、「木質燃料の復権」ともいうべき活動が世界各地に広がりを見せております。

 再生可能で、環境にやさしい木質バイオマスが、来るべき持続可能な社会の重要なエネルギー源として見直されているのです。それと同時に、木質バイオマスを効率よく熱や電気、さらには液体燃料などに変換する技術の進歩も見逃せません。

 ようやく我が国でも、木質エネルギーへの本格的な取組みが始まっています。本日、私たちは、「みどりのエネルギーが日本を変える」をテーマとした全国初の木質バイオマスサミットに参加して、木質バイオマス利用の重要性を改めて認識するとともに、これら関連産業の振興を通して、地域経済の活性化と雇用の拡大を図ることを決意しました。これはまた、豊かな森林を守り育てる循環型社会づくりに貢献することにもなるのです。

 このサミットの開催を契機にして、地域のエネルギー自立が促進されることになれば、「地域から日本を変える歴史の転換点」として記憶されることになるでしょう。
 今後、私たちは互いに、そして、私たちと価値観を共有する関係機関や団体等と連携しながら、あらゆる機会を捉えて、木質バイオマス利用の意義を全ての人々にアピールし、社会に浸透させる努力を惜しまないことを確認して、「木質バイオマスサミットinいわて」の宣言とします。
平成16年1月20日

【増田知事への表敬訪問】
 「ヴェクショーはひとつの目標」〜増田知事への表敬訪問〜

 木質バイオマスサミットinいわて を前に1月19日、スウェーデン・ヴェクショー市から来訪した、カール・オルフ・ベングドソン市長▽レナート・ゴードマーク同市国際局長▽ホーカン・マグヌスソン・ヤンフォーセン社営業部長の3人が岩手県庁に増田寛也知事を表敬訪問。増田知事は「ヴェクショー市の取り組みはひとつの目標。これからも示唆をいただきたい」と歓迎した。
 増田知事は2000年4月、スウェーデンを訪問した際にベングドソン市長と会談し、岩手の木質バイオマス利用に関する協力を要請。11月には市長を招き盛岡市内で「環境ミレニアムフォーラム」(当研究会共催)を開催した。今回は、サミットにあわせて日本貿易振興機構のLL事業とともに3人を招聘した。
 3人を前に、増田知事は開口一番「これまでにもたくさん示唆をいただいた。とても感謝している」と謝意を表し「翌日は森林関係の知事たちが集まる会議。日本全国の取り組みがわかると思う。ヴェクショーはひとつの目標であり、二酸化炭素削減には輸送関係の課題が大きいと思うが、おおいに勉強させていただきたい」と述べた。
 ベングドソン市長は「盛岡の方々には温かくしていただいたことをよく覚えている。交流を通じ、私たちも学んでいる。互いに知識や情報を交わすことができ、うれしく思っている。特に知事自身がエネルギーに取り組んでいる姿には感銘を受けた」とお返し。さらに「森林から生産されるものを活用していくことは大事なこと。スウェーデンではヴェクショーが先陣を切ったが、日本では岩手がトップだと聞いた。まず、プロセスを始めることが大切。助言することはあるが、よいと思うことを取り入れていって欲しい」と握手を交わした。


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