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学んで得するセミナー
「木質バイオマスの世界」〜供給と開発〜
2003年9月6日13:30〜14:30
住まいとエネルギーのフェスタ2003  盛岡市アイスアリーナ会場にて
前略 岩手・木質バイオマス研究会は、2003年9月、住まいとエネルギーフェスタ2003(主催:岩手県、盛岡市など)の会場で学んで得するセミナーの一環として、下記のような勉強会を開催しました。ひざを付き合わせるような会場でしたが、なかなかおもしろい内容でしたので、その要旨を掲載いたします。詳細に関しての質問は、この次、どこかでお会いしたときにしてくだされば幸いです。
 
「木質バイオマスってなんだ?」:木質バイオマスの概略説明(省略)
岩手・木質バイオマス研究会
会長 金沢滋

「いわて型ペレットストーブのいま」
    岩手県工業技術センター専門研究員 園田 哲也氏
いわて型ペレットストーブの開発目的は、@環境問題:地球温暖化防止に役立つ。カーボンニュートラルの理論を用いた木質エネルギーの活用。A資源の利用でエネルギー自給率の向上:木材の付加価値の低い部分を利用する。B地場産業の育成:南部鉄器 C地場産品の産出――にある。
 ペレットの特徴=燃料の場合、形状が一定で、品質が安定していることが条件。定量安定供給がしやすい。半面、どこでも製造できるわけではないし、石油にくらべ、かさが大きい。灰が発生し処理が課題となる。



 木質ペレットの原料:木の木部は有効利用されているが、樹皮部分は分解しずらく、また焼却できない。そこで、その広葉樹樹皮を原料とした。海外には広葉樹樹皮対応のストーブはなく、イタリア製やカナダ製などはバーク対応できない。樹皮ペレットは燃焼部に堆積させない処理をする必要がある。燃焼している間に灰で消されるからだ。しかし、成分上、珪素があり、空気を過分に供給するとクリンカーが発生し、固形化する傾向にあった。
 開発の結果、中型規模(2.3〜9.3kW/h)のストーブが完成した。タンク容量20lで最大27時間。使い勝手をよくした。世界初、耐震性能でff方式。室温調整機能がつき、最大で85%のエネルギー効率。南部鉄器を2箇所で使用。鉄板で試作したが、ちゃちであったため現在の型になった。
 サイズは縦長にした。構造上、特許2件、意匠2件出願した。自動供給部と、燃焼部を特許出願している。着火システムは、ヒーターを直接押し付ける方式ではなく、熱風で着火する試みにした。この方式でヒーター部はすすの付着が少なくなった。灰の発生はここでも問題になったが、何も措置しないとガラスが曇る。そこで空気を窓の内側にまわし、外周から空気をふきつけて曇りにくくした。レイアウト上、ペレットタンクをかがんで入れるように下部にした。高齢者への配慮もあった。
 問題の灰出し装置は、燃焼部の下で歯が回転する方式を採用。しかし、真中に灰が集まる傾向にあった。内回転、外回転して灰を均一になるようにした。耐震用の設備もこの灰出し機構が重要な意味を持った。
 操作パネルも温度設定やタイマーを設置。最大の特徴であるff方式(強制給排気システム)で給排気筒を取り付けるだけで設置できるので、設置コストは大幅軽減となった。機器の信頼性から、マイナス20度の環境試験や耐風速試験などを経ている。
 試作機をモニター機で出して、現在、量産体制を整えた。新たな量産型は10月中旬発売される。改良量産型はタンク容量を大きくしたことと、灰のタンクを大きくした。
 今後は@商品化A部材の県内供給B公的施設への先導的導入C県内各地域でのペレット生産・流通システムの確立D一般家庭用のペレットストーブの開発E木質バイオマスエネルギー活用への取り組み(高含水率のチップ利用)を進める。現在、今年冬をめどに家庭用のペレットストーブを開発中。熱量、サイズとものほぼいまのサイズの半分を実現しそうだ。期待していてください。


「木質ペレットの むかし と いま」
     葛巻林業鰹務 福島 尚氏 



 木質ペレットを昭和57年、日本で最初につくった会社です。当時、エネルギー危機があり、地域でエネルギーをなんとかしようとした。資源をなんとかしようと製紙用チップで排出された広葉樹の樹皮を「ゼロエミッション」の考え方から、アメリカの木質燃料を製造した。今の工場も当時のまま操業している。
 エネルギーの値段は、ペレットは23円/kgで設定した。今は、25円〜30円でやっている。A重油45円/l。当時、ペレットは造ったけど燃焼機がなかった。そして次第につくられ、農業施設用もあった。今もあるが、二光バーナーもあった。ペレットのほとんどは温水ボイラーで燃やしている。
 昭和57年に調査した報告書では、薪だきボイラーなど何種類もあった。熱効率だけをみると、職員室のストーブのようなタイプでは、83.7%〜90%台になっていた。
 しかし、ペレットつくるほうに一生懸命で、デリバリーを考えていなかった。それは社長である遠藤保仁が走り回っていたし、トラックに積んで汗かきながら運んでいた。
むかし いま
トンバック 県内 運輸+倉庫 運輸+倉庫
工場直送 工場直送
15kgバック ついでに運ぶ ついでに運ぶ
まとめて運ぶ 小口配送
取りに来て 取りに来て
範囲 50kmの圏内を構想 葛巻林業のエントリーシステム※

※ 県外から電話で「欲しい」というので、小口配送か取りに来るようにしている。
※ 購入システム @エントリーシートにて事前登録 燃焼機機種 年間使用量など
Aファクスなどで受付B葛巻林業より納期回答――という方式。
これまでに寄せられたお客様の反応は、
むかし 静岡県でおいしいメロンができた(糖度が2度あがった)省エネ度が30%になった直火でも浄水用の砂に油がつかない(油でよごれたくない)
いま 炎がいい どこから買うんですかペレットは高いそうだ⇒オガライトよりは安いんだけど
解決策1⇒「3円のインセンティブ」 売価20円―税金3円+デリバリー5円=22円(灯油に負けない)なんとか、みんなで3円のインセンティブを与えて欲しい。
 加工費25円+材料費(−10)=5円(含水率が高いので半分になる)
解決法2⇒カスケード利用
解決策3⇒限りなくペレットに近いチップ
     ペレットのなる木

ペレット製造の発達モデル 

派閥型 一組織が責任をもって供給体制を構築するが、各所にできたものの、採算がとれなくなると「突然ヤメタ!」
勝手連方式 儲かるとおもって各所に立ち上がる。昭和60年ごろの姿。もうからなくなると急激にすたれていくし、需給調整が難しい。
ドミノ方式 本家がのれんわけして、技術を提供していく。需要に合った発達をしていく。


このほか、「見ているだけ方式」もある。「今、一枚かんで様子をみておこう」、ではなく、どんどん関わって欲しいものだ。「こちらにおいで」という形が望ましいですね。
以上

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