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岩手県林業技術センターにチップボイラー導入

 岩手県林業技術センター(矢巾町煙山)は18日、未乾燥チップを熱利用する実証試
験のために導入したチップボイラーを一般公開した。
森林の伐採作業現場などでは曲がりがあったりや直径が足りなかったために
放置された未利用木材が数多く放置されているが、バイオマスとしてエネルギー利用されれば
森林資源を有効活用できるだけに、注目を集めている。



 導入されたボイラーは、欧州製。含水率(乾燥した木材に対する水分量)が150
%程度の伐採直後の木材チップでも対応できるのが特徴。出力200kWと400kWの計
600kW。管理棟裏の中庭にチップの貯留施設とともに上屋を建設。24時間運転で、
燃料は自動的に供給される。温水が配管通じて本館まで引かれ室内約800平方bを暖
める。大気汚染防止法上の煤塵の排出規制対象になるが、基準は満たしており、蒸気
をつくるのではなく無圧缶水式の温水ボイラーのため、ボイラー技師はいない。
 メンテナンスはボイラー部の煙菅は圧縮空気で自動すす払いされるが、灰は自動的
に排出されるものの一週間に一度はたまった灰を搬出する必要がある。燃費は灯油並
みかそれ以下が可能という。導入にかかる費用は、輸入経費や調整、ボイラー室内配
管設備で約4,788万円、上屋建設費2,136万円の計7,000万円。
 同技術センターのこれまでの調査では、3月の運転では1週間当たり15〜20立
方bのチップを使用。灰は6トンのチップに対して約10`しか出なかったという。
600kW1基だと最低出力が300kWなのに対し、2基に分けたことにより最低出力が
100kWまで対応でき、燃費上のロスも少なくなる計算だという。



 岩手県によると、森林に放置されている未利用材は生産量の46%にあたる。
チップ利用は
@チップ価格が安いA熱源にするには製材工場の端材は量が少ない
B製材工場から出る端材の処理が大変C針葉樹は家畜敷料に利用するのが厳しい
 という理由から、欧州をはじめとするエネルギー利用に着目されていた。

 一般公開は午前、午後に分けられ、約200人が熱心に見学。「なぜ沢内村の小型
チップボイラーでは生チップを燃やせないのか」「チップの樹種によって燃え方は変
わるのか」「灰の発生量はどのくらいか」といった質疑が交わされた。
 同技術センターは生材チップの燃焼試験や経済性、適正出力などを試験し、平成17年度
までに、間伐材のチップ化からチップボイラーへの供給までを含めたシステムを検討するという。

                                 【金沢 滋】

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関連サイト

岩手県林業技術センター
http://www.pref.iwate.jp/~hp1017/
トモエテクノ
http://www.tomoe-techno.co.jp/
岩手日報 記事
http://www.iwate-np.co.jp/
http://www.iwate-np.co.jp/news/y2003/m04/d16/NippoNews_12.html


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